科目別よくある質問Q&A

よくあるご質問を科目別にまとめました。 科目ごとに順次公開してまいりますので、ぜひ、ご参考ください

共通(内容について)

「通達」とは何ですか?
「通達」とは、各大臣、各庁・各局の長などが、その所管の諸機関や職員に伝達した事項をいい、法令の解釈、運用方針、個々の事項に関する上級官庁の見解などがその内容となっています。社会保険労務士試験においては、特に「労働基準法」及び「雇用保険法」において通達からの出題が目立ちますので、法令と併せて学習しておく必要があります。
「又は」と「若しくは」の違いはありますか?
「又は」は、「AかBか」、あるいは「AかBかCか」というように、単純に並列された語句を選択的に接続する場合に用います。語句が2個のときは、「A又はB」というように「又は」で接続し、語句が3個以上のときは、「A、B又はC」というように、接続部分の最後に1回だけ「又は」を用い、その他は読点で接続していきます。「『A又はBというグループ』か『C』か」というように、段階がある語句や語句群を選択的に接続する場合には、大きな接続部分の最後に1回だけ「又は」を用い、小さい接続部分には「若しくは」を用います。具体的には「A若しくはB又はC」となります。
「及び」と「並びに」の違いはありますか?
「及び」は、「AとB」、あるいは「AとBとC」というように、単純に並列された語句を併合的に接続する場合に用います。接続の仕方は、「又は」の場合と同様ですので、これらは、「A及びB」、「A、B及びC」と記すことになります。
「『AとBというグループ』と『C』」というように、段階がある語句や語句群を併合的に接続する場合には、大きな接続部分の最後に1回だけ「並びに」を用い、小さい接続部分には「及び」を用います。具体的には「A及びB並びにC」となります。
「推定する」と「みなす」の違いが分かりません。
「推定する」とは、そうであるかどうか不明の事柄について、法令が一応そうであろうと判断を下すことをいいます。これに対し、「みなす」とは、本来異なるものを、法令上一定の法律関係について同一のものとしてしまうことをいいます。「推定する」が当事者間の取決めや反証(反対証拠を挙げて否定すること)を許すのに対し、「みなす」はそれを許しません。社会保険の法規においては、船舶の沈没事故などで行方不明(生死不明)となった場合に、死亡したものと推定します。一方、民法においては、単に行方不明(生死不明)となった場合(普通失踪)などに、失踪宣告をすることにより、死亡したものとみなします。前者の推定した場合は、その後本人が生きていることが立証されれば、その推定は覆されます。しかし、後者のみなした場合は、そうはいきません。本人が生きていることが明らかとなったとしても、失踪宣告が取り消されない限り、その法律効果は動かすことができません。
「許可」と「認可」の違いを教えてください。
「許可」とは、本来であれば禁止されている行為について、これを解除して、適法にその行為を行うことができるようにする行政行為をいいます。これに対し、「認可」とは、特に禁止されていない行為について、その行為を補完することにより、その法律上の効力を完成させる行政行為をいいます。

共通(教材について)

『合格のツボ』とは、どのような教材ですか?
合格のツボは、選択対策、択一対策ともに、TAC講師陣が作問したオリジナル予想問題集です。テキストなどで基本的な内容を読み込んだあとすぐに解くと効果的です。おもに初学者の方や、日ごろ問題演習が不足しているな…と感じている方にオススメの問題集です。過去問を解いてみて、難しくてなかなか解けないなあ…と思うようでしたら、ぜひ合格のツボからチャレンジしてみてください。 また、全科目の重要ポイントがすべて問題になっていますので、ある程度学習が進んだところで、全科目の知識定着度をざっーと確認する教材としても大変役立つものとなっています。毎年多くのTAC社労士講座の受講生にも「合格のツボ」をご愛用いただいております。

労働基準法

労使協定と労働協約の違いが分かりません。
労使協定は、労働者の過半数代表者(労働者の過半数で組織する労働組合、当該労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者)と使用者側との書面による協定ですがその協定の内容は労働者と使用者を拘束するものではなく(民事的効力はない)、労働基準法の規定に違反する行為であっても労使協定に定めるところによって行う場合は同法に違反しないという効果(免罰効果)をもつものです。
一方、労働協約は、労働組合の組合員である労働者の労働条件等について、労働組合と使用者又はその団体との間で締結する書面による協定であり、労働契約や就業規則と同じように、その協定の内容は、労働者と使用者の権利・義務の発生根拠となります。
したがって、例えば、使用者が労働者に時間外労働をさせようとした場合、時間外労働に関する労使協定(36協定)を締結・届出したことのみでは、使用者は個々の労働者に法定労働時間を超える時間外労働を命じることはできず、また、労働者はこれに従う義務を負いません。使用者が時間外労働を命じ、労働者がこれに従うためには、労使協定のほかに、労働協約(や就業規則等)に、労働契約上の義務として法定労働時間を超える時間外労働に従事することについての定めが必要となります。
法4条では、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない旨規定されていますが、賃金以外の労働条件については、男女差別をしても違反にならないということでしょうか?
労働基準法では、賃金についてのみ男女差別を禁止していますので、賃金以外の労働条件について差別的取扱いをしても、労働基準法違反にはなりません。しかし、男女雇用機会均等法において、募集・採用、配置(業務の配分及び権限の付与を含む)・昇進・降格・教育訓練、一定範囲の福利厚生、職種・雇用形態の変更、退職の勧奨・定年・解雇・労働契約の更新について、性別を理由とする差別を禁止しています。
時間外労働をした場合には、2割5分、その時間が60時間を超える場合には、5割の割増賃金を支払う必要がありますが、労働者が代替休暇を取得した場合には、割増賃金を支払う必要はなくなるのでしょうか。
代替休暇の付与によって割増賃金の支払に代えることができるのは、「1箇月60時間を超えた時間外労働に対する割増賃金の率(5割以上の率)」と、「通常の時間外労働に対する割増賃金の率(2割5分以上)」との差に係る部分です。したがって、労働者が代替休暇を取得した場合でも、「通常の時間外労働に対する割増賃金の率(2割5分以上)」で計算した割増賃金については支払わなければなりません。
時間単位年休の労使協定の締結事項にある「時間単位年休1日の時間数(1日の所定時間数を下回らないものとする)」と「1時間以外の時間を単位として有給休暇を与えることとする場合には、その時間数(1日の所定労働時間数に満たないものとする。)」の意味が分かりません。
●「時間単位年休1日の時間数(1日の所定時間数を下回らないものとする)」
⇒年次有給休暇は日を単位として付与されますが、その1日分の年次有給休暇が何時間分の時間単位年休に相当するのかを定める必要があります。この時間数は、所定労働時間を元に定めるものとされていますが、時間単位年休は「分」単位で取得することはできませんので、例えば、所定労働時間が7時間45分の会社の場合には、「7時間45分」と定めることはできず、「8時間」に切り上げる必要があります(「7時間」とはできません。なぜなら「1日の所定労働時間」を下回ってしまっているため。)。
●「1時間以外の時間を単位として有給休暇を与えることとする場合には、その時間数(1日の所定労働時間数に満たないものとする。)」
⇒これは所定労働時間の短い、いわゆるパート労働者を考慮したものです。時間単位年休は、「1時間」という単位だけではなく、1時間以外の時間、つまり、2時間や3時間、4時間などを単位として与えることができますが、例えば、所定労働時間が4時間のパート労働者がいる場合、時間単位年休の単位を「4時間」と定めてしまっては、そのパート労働者は結局1日休むことになってしまい、「時間単位」で取得できないことになってしまいます。そこで、「1日の所定労働時間数に満たない」時間数、この例で言うと、2時間かあるいは3時間と定める必要があります。

労災保険法

障害補償給付の「加重」と「障害等級の変更」の区別がついておらず、問題文を読むと、いつも、どちらかわからなくなります。両者の違いを教えてください。
加重とは「既にある障害が『新たな業務災害』により重くなった場合」で、障害等級の変更は「新たな業務災害などによらずに自然的経過により障害等級に変更が生じた場合」です。
問題文を読むときは、「新たな業務災害」によるのか否かに注目してください。例えば、障害等級6級の障害補償年金の受給権者が「新たな業務災害」によって、障害等級第2級に該当するにいたった場合、その「新たな業務災害」によっては、障害等級6級⇒第2級にあがった分(つまり6級-2級=4等級分)のけがと考えられ、差額(4等分)支給となります。つまり、もともと持っていた第6級の年金と差額の年金の2本の受給権を有することになります。障害等級の変更の場合は、単純に既存の障害の程度が悪化(あるいは軽減)しているだけなので、新たな年金の受給権が発生するという話は出てこず、既存の年金の額が改定(あるいは一時金支給)されるのみということになります。
障害補償年金前払一時金の請求は支給決定の通知のあった日の翌日から起算して1年を経過するまでの間は請求することができる、とありますが、一方で、障害補償年金前払一時金を受ける権利は2年を経過したときは時効によって消滅する、とあります。結局、1年を経過したら、権利はあるけれども、請求はできないということでしょうか。
おっしゃるとおり、障害補償年金前払一時金(前払一時金)を受ける権利が時効消滅していなくても、障害補償年金の支給決定通知を受けた日の翌日から起算して1年を過ぎていれば、前払一時金の請求はできません。 逆に、障害補償年金の支給決定が傷病が治った日から1年6か月後に行われたような場合には、支給決定通知を受けた日からおよそ6か月で前払一時金を受ける権利が時効によって消滅しますので、支給決定通知を受けた日の翌日から起算して時効消滅前(この場合およそ6か月)以内に請求しなければ、前払一時金は支給されないこととなります。
介護補償給付の額は原則実費ですが、常時介護を要する状態で、親族等による介護を受けていない月について、最低保障額に満たない額を介護に要する費用として支払った場合(例えば4万円)は、実費として4万円が支給されるということでしょうか。
「親族等による介護を受けていない」月の介護補償給付は、最低保障の適用がありませんので、実費に相当する額(上限あり)が支給されます。したがって、ご質問の例のように介護に要する費用として4万円支出した場合には、4万円が支給されることになります。
未支給の保険給付の請求権者は「死亡した受給権者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものとされていますが、未支給の「遺族補償年金」の場合は、「受給権者」ではなく、「遺族補償年金を受けることができる他の遺族」となっています。両者の違いがいまひとつ理解できません。
遺族補償年金以外の未支給の保険給付の請求権者は、死亡した「受給権者」の遺族となりますが、未支給の遺族補償年金の場合の請求権者は、死亡した「労働者」の遺族、すなわち、遺族補償年金の後順位の受給資格者となります。
つまり、遺族補償年金には転給がありますので、先順位の受給権者が死亡し未支給の遺族補償年金がある場合は、請求権者は、死亡した受給権者の遺族ではなく、後順位の遺族補償年金の受給資格者がなるということです。
例えば、遺族補償年金を受けることができる遺族として労働者の妻と父母が残った場合、妻が受給権者となります。そして、その妻が遺族補償年金の支給を受けずに死亡したときは、当該未支給の遺族補償年金の請求権者は、当該遺族補償年金の後順位の受給資格者である労働者の父母となります。妻の父母(受給権者の遺族)は請求権者にはなりません。